足元に転がる150年前

まずはこれを
少し不可思議な姿の塊だが   もちろんただの石ではない

江戸末期から   この地で   製鉄を営んできた
先人たちの生業の痕跡が   ゴロゴロと転がっているのだった

これは 銑鉄と炭 
そして 溶けた鉄に巻き込まれた 花崗岩の小石まで混じったもので
ずっしりと重い


ここは岩手県釜石市から  西方向に奥深く入った場所
標高は1000m近くで
遠野市との境にある六角牛山山頂の北西に位置する場所

訪れたのは先週の土曜日で 
自宅から車で 片道3時間ほどかかった

標高があるため 
この地は やっと新緑が芽吹いた頃合い

インフォメーションセンター前に愛車を駐めて  事前学習
それにしても この日は5月12日の土曜日だというのに
観光客はまばらだった 

外気温は 標高もあることから 12度
薄いジャンパーを持って行ったのだが 
寒さで鼻水が流れてくる・・・

事前学習を終えて
右手方向に軽く坂を登るのだが
上にも障害者マークの駐車場があるということなので
さらに車を移動させた


車を降り 小さな橋を渡ると
目に飛び込んできたものが・・・

そう
ここは  世界遺産のひとつ


製鉄の街  釜石市の歴史を辿れば   必ず  この地に行き着くことになる

妻とゆっくりと沢沿いの道を歩いていると
妻が「パパ   あれ!」と声を上げて 私の右側方向を指し示す

この辺りは 渓流釣りでも有名なクマ出没注意の地域だけに
すわ  クマかと気構えたが・・・・

私の目に飛び込んできた風景は
なんと葉ワサビの群生・・・・・・

我が目を疑った・・・・食べたい・・・と

収穫し 持ち帰りたい衝動に駆られながらも
「ダメダメ  ここは世界遺産」と欲望を押さえ込んでの移動
正直   辛かった

なにやら渓流釣りで大物を逃した気分で
見学前に  すでに後ろ髪を引かれていた・・・・

さて
足腰に問題がなければ   ささっと歩ける距離だが
ポンコツ夫婦にすれば   いささか大義な距離

ゆっくりと最上部に到着

すると  私たちを坂で追い越した方々は
既に最下部まで移動していた・・・

最上部に位置するのが 一番高炉で
ここは そこから数えて三番目
一番高炉付近に 見あたらなかったのが
冒頭のような銑鉄混じりの石で

この二番高炉から三番高炉にかけて 
赤錆びだらけの石が 多く転がっていた

順路を逆にして 下から来た観光客とすれ違ったが

足元に転がる 生業の跡には 気がつかないようで
勿体ないと思いながらも 

自分は無秩序に転がる たくさんの赤さびの石を眺めていた

順路の最後まで来て
妻は「もっと早く来ていても良かったね」と言う

悉く 流行というものを好まない「天の邪鬼」体質な私は
一過性の賑わいが落ち着いたころを見計らって
行動を起こすことが多いのだが 
さすがにここは 妻の言うことが正しいと 自分も思った
反省しても遅かったのだ・・・

遠野市側には 荒神(こうじん)様という
スサノウノミコトを祭る神社もあることから
遠野側にも 古代日本からの
製鉄の歴史が残っている

東北の古代史が大好物の私にすれば 
願ってもない場所だったのだ


はてさて 愛車までの帰り道も 
大好物の葉ワサビの群生を眺め

食べたい食べたい・・・と思いながら
釜石には戻らずに 遠野市内まで車を走らせ

遅めの昼食をしてから 
遠野の観光地のどこにも寄らずに 帰路についたのだった


コメント

kaori さんのコメント…
のびのびしますねえ。

mistyhill さんの投稿…
kaori さん コメントありがとうございます。
そうですね〜。ここは、北上山地の奥深い場所のひとつです。
ちょうど新緑の季節で、気持ち良かったです。

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