歴史探訪に出かけてきた その2

 青森県と岩手県にまたがる 南部家の歴史を知りたくて

青森県八戸市のホテルを出発した私たち夫婦は

岩手県二戸市へと向かった


雨予報だったにもかかわらず 

幸いにして 二戸市の周囲は雨で ここだけが降っていない様子


降ったにしてもかなりの小雨の模様だとはいえ

私たち夫婦にすれば 雨は都合が悪いのだった


妻は右手でクラッチ(専用の杖)を使い 歩行を助けている状態なため

足元が悪い状況では 不安が大きい

しかも

左手に傘をさすことになり 両手が塞がれることになる


戸外の見学の場合 雨の日を避ける理由がここにある


段差や斜面のない屋内であれば 

杖がなくても短い距離なら歩けるのだが

お出かけの時は

妻が歩ける場所を探りながら

「ここ 歩ける?」と 声をかけ

時にはそのコースを歩かないこともある


今回の旅の中で 

特に訪れたかった場所が 八戸市の根城跡と二戸市の九戸城跡

どちらも戸外で 平坦な場所だけとは限らない


「2時間くらいは 雨は降りそうにないね」と

スマホで雨雲の動きを確認した私たちは

ガイドハウスから 傘を持たずに移動開始した


三の丸に位置するガイドハウスからすぐのところに

外堀を上がり降りする 手すりが付いた階段があった


早々に 妻は難儀するのだが 

妻は元気な声で「大丈夫 歩く」と意気揚々


今回 妻が一番訪れたかった場所なのだった


そこから曲輪(くるわ)となる通路をしばし歩き

南側の深田堀(ふかだぼり)と呼ばれた 

人や馬が歩けないほどの泥濘の堀の上に

今は舗装路がかけられた道を ゆっくりと歩くと

そこから見えたのは


二の丸切岸(きりぎし)という要害の姿だった


蔓性植物に覆われてはいたが 部分的に見えたのは

火山灰と思われる堆積物が浸食により露頭した天然の要害


この垂直面には いくつも穴がみられたが 

おそらくは木の根が腐れた跡と思われた 


高さは10mほどになるのだろうか 

不自然なほどに垂直になっていることに驚いた

二の丸切岸(きりぎし)と呼ばれる崖だけに 

おそらくは 切り立つように下部が掘りこまれたのかもしれない


この城跡は3方向が川となっていて

馬渕川に面する場所は さらに高さのある断崖絶壁となっている


これが 豊臣秀吉による奥州再仕置きで

豊臣軍と九戸政実公の軍が戦った城跡


秀吉の甥である秀次を総大将にして 

井伊直正 浅野長政の高名な武将らを筆頭に

蒲生氏郷らも加わり 

総勢6万5千人の豊臣軍が取り囲んで

立て籠る5千人の九戸政実軍と戦った場所だった


秀吉が天下統一を為すため 最後となった戦が

この地だったのだ


これでは 英次を総大将にした豊臣軍は難儀するのも当然


露頭しているこの断面は

十和田噴火による大量の灰が堆積物となり 

長い時間をかけて押し固められた凝灰岩と思われた


手で触れて確かめたかったが それは叶わなかった


一部が整備のため工事中だったが

大手門跡付近から入ると 

広い城跡が見え その規模に驚いた

とはいえ 政実公が築いた九戸城と

落城後に蒲生氏郷が建てた居城と

さらには 後に南部家が建てた福岡城の跡が混在する遺跡群だった


政実公の本丸追手門跡


本丸を囲む石垣跡

写真を撮り忘れてしまったが

防御上必要だった桝形と呼ばれるクランク跡もあり

資料によれば この時代に桝形があることは とても珍しかったという


政実公に思い入れの強い妻は

九戸城跡の跡が 予想外に少なかったのが不満だったようで

「ああ ここも福岡城の跡か・・・」と嘆いていた


妻のレベルにまで達していない私はといえば

北東北の歴史上の転換点となった戦の地にいることが

感慨深かった


過去に妻に「面白いよ」と私が教えたのだが 

今では 妻の方が詳しくなってしまった歴史観


さて 

この戦では  

抵抗を止めた政実公との約束を 後に翻した豊臣秀次は

政実公を 秀吉の命により連れて戻ったのだが

宮城県栗原市で斬首を命じ

九戸城に残された配下や女・子供までも 

撫で切りを命じたのだった


現に 発掘調査の際に大量の人骨が堀跡から

二の丸堀跡から出てきたという


実に悲しい話である 


北西の角から 市街地と周辺の山々の風景に目を奪われていた

 

山間の 狭い地域に発展した街の風景を眺めながら思ったのは

総大将の英次自身も 悲しい結末で命を閉じたということだった


霧雨が降り始めたこともあり

駐車場に戻り ガイドハウス内の資料を見ることにした


続く

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