2017年4月9日日曜日

春に愁う

今月の11日は
亡き母の   初めての命日

もう一年経ったのかと思うと
感慨深い

誰もいなくなった実家に入る時は
今でも   母がいた時と同じで
「来たよ」と   母に声をかけるようにして
上がり框(がまち)を   一段上がる

ふと    玄関のたたきを見下ろすと
母のサンダルが目に入った

母の靴は    そのほとんどを処分していたが
母のサンダルだけが
今も処分できずに   玄関に残っているのだった

その足のサイズはとても小さく
子供のような22.5cm
隣に並ぶ私の靴はといえば27.5cm

そんな可愛らしいほどに小さな   母のサンダルを見ていたら
東京オリンピックの頃に
一瞬で  時間が遡上した

何故か    母の真っ白な割烹着姿を思い出したのだった

母の割烹着のポケットには
いつも飴が入っていたのだった

それも   透明なセロファンに包まれた丸い飴

そんな   懐かしい思い出

そういえば    母の割烹着のポケットには
いつも黒いヘアピンも入っていた
それは   妹の前髪を   留めてあげるためのものだった

幼かった妹は
母の姿が見えなくなると
いつも大泣きしながら
私にすり寄って来ては   私を困らせたものだった

そんな   50年以上も昔のことを思い出していた

母と   戯言すら交わせなくなった今
目の前にある現実と
幼い頃の家族の思い出が交錯し
足元が揺らぐような感覚に襲われていた


折しも母が旅立ったのは
実家の庭の吉野桜が満開となった日

それから初めての桜の春
吉野桜の蕾も膨らみ
薄紅に色づいていた

いつかこんな日が来ると思っていたが
とうとう    両親も   兄もいなくなり
唯一の家族は妹だけとなったことを
再び実感したのだった




2 件のコメント:

  1. あしたですね。
    お庭の吉野桜が満開だったのですね。
    思い出しますよねぇ色々なこと。。

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    1. kaoriさん
      お気遣いに感謝します。
      これから毎年、桜を見ると、
      花が大好きだった母を、思い出すのでしょう。

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